2020年4月、不動産の相続に新しい権利が生まれます。
配偶者居住権と呼ばれるその権利は、いったいどのような内容なのでしょうか。
今回は、相続を予定している方が気になる配偶者居住権についてご紹介します。
不動産の相続における配偶者居住権とは
2018年に大きく改正された民法ですが、大きく話題になった成人年齢の18歳への引き下げなどと同時に、相続についても大きな変更がありました。
そして配偶者居住権、配偶者短期居住権の新設が、2020年4月1日から施行されます。
配偶者居住権とは、相続が発生する前から故人の所有する自宅に共に住んでいた配偶者がそのまま住み続けられる権利です。
遺産分割協議中で、誰が何を継ぐのか定まっていない時期でも配偶者短期居住権が6ヵ月認められており、家を出る必要もありません。
ただし、不動産の所有権とは異なり売却や取り壊し、大きくリフォームすることはできません。
ちょっとした修繕程度は認められると考えられますが、大きく手を入れたいときは不動産の所有者に相談する必要があります。
不動産の相続における配偶者居住権の内容とは
では、具体的に不動産の相続における権利内容をご紹介します。
法定相続人が配偶者1人、子1人の場合、遺産はちょうど半分ずつ分けることになります。
自宅価値が2,500万円で預貯金が2,500万円ある場合、これまでは元々住んでいた配偶者が自宅を、子が預貯金2,500万円を相続し、配偶者は自宅だけ残って手元にお金が残らない事態が発生していました。
また、自宅の方の価値が高い場合、たとえば不動産3,000万円、預貯金2,000万円では、不動産の500万円分を子に渡すため、手元資金を崩すか自宅を売却し、資金を調達する必要がありました。
かといって、手元に資金を残すとなれば住むところを失うことになります。
配偶者居住権は、このような「自宅なのに住めなくなる」「手元資金がなくなる」といった配偶者の不安を解消するため、新たに設定された「住む権利」です。
権利の発生期間は配偶者が亡くなるまでで、所有者が変わっても居住権は引き続き残ります。
そして配偶者居住権は、平均余命と不動産の耐用年数を用いて評価し、この権利を含めて遺産分割をします。
たとえば、先ほどの2つ目の例、不動産3,000万円、預貯金2,000万円を配偶者1人、子1人で相続する場合、居住権が1,000万円だとすると、配偶者が居住権1,000万円と預貯金1,500万円、子が所有権2,000万円と預貯金500万円の相続となります。
もちろん、遺産分割は相続人がみな納得できる形であれば均等割りする必要はありません。
事前にどうするか、家族で話し合っておけるといいですね。
まとめ
2020年4月から施行となる、配偶者居住権の新設。
老後に家を失う不幸を減らすと同時に、手元に老後資金を残しておける不動産相続の大きな内容変更といえます。
不動産相続は、大きなトラブルになることも多いので情報収集して相続に備えましょう。
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